歌謡亭日乗

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純烈、“紅白”出場の夢を叶える

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 不自然とも言える暖かさが続いていましたが、今日は冬らしく空気の冷たい一日でした。いよいよ今年も終わりに近付いているのを感じますが、すでにNHK紅白歌合戦の出場者も発表になっているのですから当たり前と言えば当たり前の気がします。
 
 初出場のDAOKOさん、あいみょんさんも楽しみですが、やはり初出場で注目したいのは純烈の皆さん。2010年のデビュー以降「夢は紅白!親孝行!」のスローガンのもとに活動してきましたが、8年で夢を叶えてしまったのですから大したものです。

 

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純烈(前列左から後上翔太白川裕二郎友井雄亮、後列左から小田井涼平酒井一圭 


 ご存じの方も多いでしょうが、彼らは5人中4人が、戦隊ヒーローものドラマに出演していた経験を持つ元俳優で、現在の活躍の場である歌謡曲の世界とはほとんど縁のないメンバーばかりで活動を始めました。
 
 しかし、当初から中高年を対象に、歌謡曲を歌うという方針は固まっていて、その上で“紅白”出場を目指すことも、冗談ではない本気の目標として設定されていました。
 
 とは言え、歌謡界における強力な後ろ盾があるわけでもなく、まさに手探りで目標を目指す日々。彼らのホームグランドとなった健康ランドに出演するようになったのも、想うような活動ができない中で、歌える場を求めて行き着いた結果であり、知名度の高くない歌手の主な活動の場であることから、周囲からは「出演するのは控えた方がいい」という助言を受けたこともあったとか。
 
 それでも、その場を去ることなく、浴客を相手に歌い続けたのは、リーダーの酒井一圭さんが立てた戦略のため。歌謡曲を愛する中高年とふれ合いながら、自分たちの存在を知ってもらい、ファンを増やすのに、それは最適な場だったのです。
 
 そして、いつしか純烈が出演する健康ランドには、入浴よりも彼らを観ることが目的の人々が多く集まるようになりました。
 
 2015年にはCS歌謡ポップスチャンネル発の演歌男子。ブームに乗って、さらに人気を拡大させ、単独でのホール・コンサートでは個々のキャラを明確に打ち出しつつ、グループとしての存在感を大きなものにしてきました。
 
 メインでステージを務める力を持ち、多彩な魅力を披露しつつ、笑いのセンスも発揮できる、かつてのクレージーキャッツドリフターズのような存在にもなり得る5人は、昨年あたりからメディアで取り上げられることも増えて、いよいよ頭角を現してきたことを実感させていましたが、ついに今年、決定的な評価を得るに至ったのです。
 
“紅白”でも披露されるであろう最新曲の「プロポーズ」は、メンバーの一人である小田井涼平さんが、昨年LiLiCoさんと結婚していたことから、二人のイメージに重ねられることが多かったのですが、実際は、純烈から“紅白”へのプロポーズだったわけです。

 念願を叶えたことは実に喜ばしいことですが、5人の面白さを知るには“紅白”の出演時間では短すぎます。興味を持った方には、ぜひ、コンサート会場や、ショーの開かれる健康ランドに足を運んでいただきたいと思います。

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 さて、今年の“紅白”、演歌・歌謡曲の出場者は、昨年より一人少なくなりました。
 ともに2年続けて出場していた市川由紀乃さんと福田こうへいさんが外れました。
 10月下旬までのCD売り上げを見ると、氷川きよしさん、山内惠介さん、純烈の皆さんに次いで福田さんは4位、5位の水森かおりさんに続く6位が市川さんです。“紅白”の選考基準は「今年の活躍」「世論の支持」「番組の企画・演出」を加味したものということで、先の2つに関しては市川さん、福田さんともに不足はないはず。となると、2人が外れることとなった「番組の企画・演出」がどんなものなのかとても気になりますが、これは3つの材料の中で最も曖昧で、恐らく万人が納得できるようなものではないと思います。ある時期から“紅白”にうっすらと灰色が混ざっていることは国民の多くが感じているところであり、取り敢えず一年を締めくくる最大級の歌謡番組という位置付けにはあるものの、絶対的な存在というわけではありません。観るも観ないも個々の勝手ですから、不満を募らせることにはあまり意味がありません。
 
 NHKとしては、若い層にきちんと受信料を納めてもらうためにも人選に頭を悩ませているようですが、まだまだ中高年も大事にすべきですから、演歌・歌謡曲枠を削るなら、1時間増やして前半を若者向け、後半を中高年向けにするとか、30日に若者向け、大晦日に中高年向けというように2日に分けて行うとかの番組作りを考えてもいいんではないかと思うのですが…。