歌謡亭日乗

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門松みゆきさんデビュー直前インタビュー

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 2月27日に「みちのく望郷歌」でデビューする門松みゆきさん。
 先日のデビュー・コンベンションの時に「完成度の高さゆえ、ほころびも見てみたい」なんて勝手なことを感じたのですが、インタビューの機会を得たので、「ほころび」を探ってみようと臨みました。

 まず初めに訊いたのは、10年という長い間デビューを待ちながら修行できたのはなぜだったのか?
「もちろんデビューできないんじゃないか? 諦めようなんて思ったことは何度もありました。でも、私を応援して、デビューするのを楽しみにしてくれている方たちがたくさんいてくださって、歌手になるという夢は私だけのものではなくなっていたんです。だから、皆さんのために夢を叶えなければって頑張ることができました」

 期待や声援に応えるために、諦めることを許されないというのは、かなり辛い状況だと思いますが、彼女はそれを見事に乗り越えました(修行期間中の彼女の気持ちは、舞台を東北に置き換えて「みちのく望郷歌」に綴られています)。
 その原動力になっていたのは、2歳の時に両親と観た北島三郎さんのコンサート。
「言葉の意味はわからないんですが、胸に迫ってくるものがありましたし、帰り際に目にするたくさんの人がみんな本当に楽しそうで、たった一人でこんなに大勢を笑顔にできるなんて、なんて素晴らしいんだろう!って感動したんです」

 2歳では歌が上手かったとか色とりどりの照明がきれいだったとか、そんな感想を持つのが普通ではないかと思いますが、彼女は幼いながらに北島さんのエンタテイナーとしての魅力に着目していたのです。
 現在25歳の実年齢より落ち着いて見える門松さんですが、幼少期より早熟な人だったようです。

 幼くして演歌が好きになるケースでは、家族や周囲に演歌の好きな人がいて、その影響を受けるというのが一般的ですが、門松さんの場合、周りにそういう存在はなく、北島さんに与えられた感動が、彼女をプロ歌手の世界へと導きました。
 成長の過程では安室奈美恵さんをはじめとする小室サウンドが流行するなど、時代の音も流れていましたが、その胸に響くのは演歌ばかりだったそう。門松さんは演歌歌手になるべく遺伝子レベルで運命づけられていた人なのかも知れません。

 インタビューではいろいろな質問を投げかけてみましたが、デビュー前の新人とは思えない反応の好さで、言いよどむことなく次から次へと答えを返してくれました。
 コンベンションでもトークが達者なことは窺えましたが、歌うだけでなく話すことについても新人離れしたものを持っているようです。

 そんな門松さんに「みちのく望郷歌」でデビューする現在の自分を、5段階で評価してもらったところ、答えは「3」。想ったより低かったのですが、全般に自己評価の低い人で、自らに厳しくすることによって成長や飛躍へのエネルギーを蓄えるタイプのよう。
「3と言ったら普通ですけど、伸びしろが大きいと思ってください(笑)」とのことで、笑顔の奥には満々の意欲が感じられました。

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 趣味を訊ねると「人間観察と散歩です。歌が上手い人になるだけでなく、人間として成長したいと思っているので、自分以外の人がどんな生き方や考え方をしているかを見て、少しでも学べたらと思っています。
 散歩は、なるべく身体を動かしたいのと、気持ちがリフレッシュできることから心がけています」。
 他人に学んで自らの向上につなげたいとは、なんて立派な考え方だろうと感心しますが、「歌のレッスンを受ける中で上手くいかないことも多くて、自分自身と向き合う機会が増えたんです。それを重ねるうちに、さまざまな機会に学んだり吸収したりして、改良や改善をしていこうという考え方になりました」

 月並みではありますが、どんな歌手になりたいか訊いてみると「北島三郎さんのような歌手になりたいです!」。← これが25歳の新人の目標とは、演歌・歌謡曲のファンにとって、なんとも頼もしいではありませんか!
 まぁ、なんとも実によくできた人で、1時間ほどのインタビューでは、残念ながら(?)テーマの一つだった「ほころび」は見つかりませんでした。
 「ほころび」なんて言いうと、好くないことのようですが、もちろん短所を見つけたいのではなく、よりユニークな部分、個性的な特徴ということです。

 2月27日(道の駅日光 日光街道ニコニコ本陣 多目的ホール)、4月24日(以降、東京・けやきホール)、5月15日、6月19日と所属の日本コロムビアが主催する『コロムビアマンスリーライブ』に出演。同時に全国キャンペーンで歌謡ファンの方々とふれ合う機会も多数設けられる予定なので、そうした中で彼女の「ほころび」は発見されるかも知れません。その時、周囲ではたくさんのファンが顔をほころばせていることでしょう。

門松みゆき | 日本コロムビアオフィシャルサイト

門松みゆき (@mi_yuki0227) | Twitter