歌謡亭日乗

或る音楽ライターの仕事と日常

2月27日、門松みゆきさんが「みちのく望郷歌」でデビュー

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 2月27日、“コロムビアが送り出す平成最後のニューフェイス”門松みゆきさんがデビューします。


 デビュー曲は師匠の藤 竜之介さんが作曲、石原信一さんが作詞した「みちのく望郷歌」。長い黒髪が印象的な美人で、着物ではなく洋服で歌うようですが、「みちのく〜」は、見た目からは意外な、和風の濃い演歌。三味線の音や♪ホーヤレホーという言葉と共に、門松さんの真っ直ぐな歌声が胸に届きます。


 1月22日には東京・渋谷のパセラリゾーツ・グランデでデビュー・コンベンションが行われましたが、会場には100名を超えるマスコミ、業界関係者が集まり、近年では珍しい盛り上がりに、門松さんに賭けるコロムビアと周囲からの期待の大きさが窺えました。


 2歳の時に観た北島三郎さんのコンサートに感銘を受けて歌手を志し、高校卒業後に藤さんに弟子入り。カラオケ店でアルバイトをしながら歌ったり、第一興商のカラオケ・ガイドボーカルを務めたりしながら歌唱力に磨きをかけた門松さん。
 筆者は2016年に藤さんのご自宅に取材に伺った際に、弟子として紹介されたのですが、当時すでに修業は7年に及んでおり、以前に比べてデビューが難しくなっている状況から、彼女が念願を叶えられるかどうかについても楽観はできず、しかし、歌手への夢を語る瞳の輝きに、応援したい気持ちになりました。
 それから月日は流れて、ある日受け取った新人歌手デビューの案内を見た時に、門松さんがついに目指してきたスタートラインに立つことを知り、とても嬉しい気持ちになったのです。

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 コンベンションでは「みちのく望郷歌」、カップリングの「濡れてめぐり雨」の他に「もう一度逢いたい」(八代亜紀)、「祝い酒」(坂本冬美)、「涙の連絡船」(都はるみ)、「圭子の夢は夜ひらく」(藤 圭子)が披露されましたが、周りの記者の口からは思わず「上手い!」という声が洩れるほどで、彼女の実力の高さが実感されました。
 
 ステージでは他に、三味線の腕前も示されましたが、バチを叩く姿が実にかっこよく、松村和子「帰ってこいよ」、長山洋子「じょんから女節」に続く、立ち弾き演歌の代表曲が現れたのを感じました。

 長い修業中に様々な経験を積んだこともあるでしょうが、新人にしては歌にしてもしゃべりにしても完成度の高い印象。根性もありそうですから、演歌・歌謡曲は相変わらず厳しい環境にあるものの、それに負けることなく我が道を切り拓いていってくれそうです。

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師匠で作曲家の藤 竜之介さん(右)、作詞の石原信一さん(左)と

 最後に一つ希望を言うとすれば、あまりの完成度の高さゆえ、ほころびも見てみたいということ。新人ゆえの緊張がほぐれて徐々に素顔をのぞかせられるようになれば変わってもくるのでしょうが、整いすぎた美形の顔のほくろのような、愛嬌や親しみやすさにつながるアクセントが見つかると言うことなしという気がします。もちろん、そのあたりはこちらでも探しながら、これからの活躍を追っていけたらと思います。